情報296 読売新聞夕刊にアテルイ

読売新聞の5月28日(火曜日)大阪本社版(東京本社版)夕刊の企画「史書を訪ねて」に、『日本紀略』(国家の正史、六国史のダイジェスト版。平安後期成立。)から岩手県奥州市を訪ねて、アテルイを大きく取り上げた特集にしている。

『日本紀略』延暦21年(802年)の記事には、
「...夷大墓公阿弖利為、盤具公母禮等、種類五百餘人を率いて降る...」(四月十五日条)、
「造陸奥国胆沢城使坂上田村麿来たる。夷大墓公二人並びに従う」(七月十日条)、
「夷大墓公阿弖利為・盤具公母禮等を斬る。此の二虜は、並に奥地の賊首なり。二虜を斬る時、将軍等申して云ふ。此の度は願ひに任せて返し入れ、其の賊類を招かんと。而るに公卿執論して云ふ。野生獣心、反覆定まりなし。...奥地に放還するは、いふところの虎を養い患を遺すなり。即ち両虜を捉へ河内国椙山に斬る。」(八月十三日条)とある。

現地を案内した安彦公一氏(当会副会長)が「蝦夷は逆賊として扱われていたが、地元では1980年代から世間の認識を変える取り組みをしてきた。
日本の歴史の中で中央に勝ったのはアテルイだけ。
小説やテレビドラマ、歌舞伎にもなり、今や東北のヒーローです。」と話している。

また岩手大学・樋口知志教授の、「政権側はアテルイ処刑後、融和政策に転換した」等の解説文も掲載している。