情報266 『北の英雄アテルイ伝』

NHK制作の『火怨・北の英雄アテルイ伝』がBSプレミアムで本年1月11日から2月1日までの毎週金曜日に4回シリーズで放送された。総合テレビでは3月23日と30日に、大型時代劇として前編「蝦夷と呼ばれた人々」、後編「最後の戦い」に編集されて全国に放送された。これまでアテルイを主役とするアニメ映画やミュージカルはあったが、テレビ時代劇として取り上げられ全国に放送されたのは初めてのことである。出演者もアテルイ役の大沢たかお、モレ役の北村一輝をはじめ存在感のある俳優陣が並び、重厚で見ごたえのある作品に仕上がった。

原作は高橋克彦の『火怨』であるが、東北古代史の研究者が時代考証等に参画しており、内容的にも蝦夷の社会、蝦夷のアイデンティーなどについて、発想の起点をしっかりと保持した演出になった。ストーリーとしては原作とは違った展開があり、そのなかで馬と鉄を駆使して朝廷軍と対決していった展開には精神的側面からの描きかたに留まらず、当時の蝦夷社会を別の側面からも意欲的に描いていくものであった。

BSプレミアムでの第一話は「蝦夷(えみし)と呼ばれた人々」、第二話が「族長の決意」、第三話が「悲しき宿命」、第四話が「最後の願い」。6月に発売されたDVD(税抜7,600円)は、総合テレビで放送されたもので、大沢たかおのインタビューなどが特典映像として付いている。