情報246 『週刊 新マンガ日本史7坂上田村麻呂』

 全35ページの内、大部分の26ページが「マンガ古代の英雄対決」(細雪純、シナリオ北島ヒロ)で、坂上田村麻呂とアテルイの「対決」を描いている。田村麻呂が副将軍となった第二次征討における場面を中心に、田村麻呂とアテルイのそれぞれの立場からする思いをかけた「対決」が繰り広げられる。史実では朝廷軍の圧勝に終ったとみられるのだが、その戦いには触れず、田村麻呂の説得とアテルイの主張のやり取りがなかなかの内容となっている。田村麻呂は戦いの勝利を前提に、「小岩が立ちはだかったところで大河の流れは止められぬ...」、「勝手は承知だ」、「故郷の地を荒らされた怒りがわからぬではない」とまで踏み込み、「だが、このままでは蝦夷の最後の一人まで滅ぼし尽くさねばならぬ」、「生きるべき者をその背に乗せ、破滅に向かい走り続けるというのならば...おまえをここで斬り捨てでも止めてみせる...」と語る。数年後、胆沢を占拠されたアテルイは降伏の道を選ぶ。〔朝日新聞出版、2010年12月発行、490円〕