情報 わらび座ミュージカル「北の燿星アテルイ」再演決定

 劇団わらび座は来年(平成23年)4月から創立60周年を記念してミュージカル「北の燿星アテルイ」を10年ぶりで再上演する。来年は平泉の世界遺産登録再挑戦の年であり、朝廷と蝦夷の戦い、いわゆる宝亀五年(774)の海道の蝦夷による桃生城襲撃に始まるとする「三十八年戦争」が終焉して1200年の記念年にもあたることから、「アテルイ」の再演を通じて、みちのくの力とロマンを全国に発信する。5月14日、岩手県や関係団体は全県実行委員会(高橋克彦会長)を立ち上げた。発足会は盛岡市内のホテルで開かれ約30人が参加し、わらび座劇団員によるアテルイのテーマソング「日高見、わがまほろば」の披露、意見交換などが行われた。会長に就任した高橋克彦氏は「大地に根を張り、力強く生きてきた東北人の姿を全国の人たちに伝え、新たな東北の創世につながることを願う。今一番の願いは、再演する「アテルイ」を若い世代に見てもらうこと」と挨拶した。ミュージカル「アテルイ」は盛岡市の作家高橋克彦氏の『火怨』が原作で、朝廷の侵攻に立ち上がった蝦夷の若きリーダー、アテルイの物語。アテルイ没後1200年を控えた2001年(平成13)8月から3年にわたり全国各地で上演され、大きな反響を得た。再上演される「アテルイ」は、坂上田村麻呂の人物像を再構築し、アテルイに感化され変わっていく姿をより深く描くという。また、人間としての生き方を真正面からぶつけるアテルイの姿は「蝦夷の誇り」を超え、「人間の誇り」を現代社会に問いかけるものになるという。今回は若手を中心にキャストを一新し、新曲も登場する。アテルイ役には、初演でアテルイの片腕ヒラテ役を演じた戎本みろ(40)が務める。戎本さんは「以前の公演で、岩手の皆さんに熱く迎え入れられたことがずっと忘れられなかった。このほとばしる思いを原動力に、アテルイ役に臨みたい。ミュージカルアテルイを輝きにあふれた、燃えるような公演にし、みちのくの魂を全国に発信していきたい」と話している。来年1月から稽古をスタートし、4月10日の秋田県仙北市のわらび劇場での公演を皮切りに全国上演される。岩手県内では5月中旬から各市町村や学校で公演する予定。