情報189 水沢の羽黒山からアテルイ時代の土師器

 阿弖流為・母禮慰霊碑建立実行委員会が発掘調査を進めていた羽黒堂古館跡で、アテルイが活躍した時代の八世紀後半(奈良-平安時代)とみられる土師器片が出土した。同破片は「へらみがき」という技法で仕上げられ、表面と裏面の両方が黒くいぶされた「内外黒」になっており年代判定の手がかりとなった。
 調査は慰霊碑建立に際しての予備調査として、日本考古学協会員である及川洵同実行委員会副会長を調査団長に8月から9月までの2ヶ月間実施された。当会の会長でもある及川洵氏は「アテルイの碑の基礎部分から同時代と思われる土師器が出たことに縁を感じる。01年の羽黒山市民発掘でも八世紀後半に近い土器片が出ているので、伝承だけでなく史料的にもアテルイ関連の地と裏付けられたのではないか」と語っている。