情報51 ライバル日本史〈桓武天皇VSアテルイ〉が文庫本に

平成8年2月8日にNHKテレビで放送された「ライバル日本史」〈平安王朝、東北大戦争~桓武天皇とアテルイ~〉が、角川書店から文庫版の『ライバル日本史』第5巻「挑戦」に収められて発売された。その中で、番組のゲストであった高橋克彦氏は次のようにアテルイについて語っている。アテルイとはどのような人物だったのだろうか「...相当長い期間蝦夷を率いて戦っていますから、若い頃から頭角を表していたのではないかと思います。朝廷軍との戦いで、被害を最小限にくいとめながら軍を追いやったことを考えますと、蝦夷はある程度の軍事力をもっていた国家だったのではないかと想像できます。ですから、その代表であるアテルイは、小さな地域の首長というより、蝦夷を統一した英雄だったのではないでしょうか。彼はただの武将ではなく、平和なときにも政の中心にいて人を指導していて、力が強いだけでなく、人間的にも慕われていたのではないかと思います。...蝦夷と朝廷軍の戦いの記録を見ていますと、...力で戦うというより頭脳プレーです。これは僕の勝手なイメージなんですけれども、アテルイは非常に知性的な人間だったのではないかと思います。」
高橋克彦氏は最後にこう結んでいる。「明治維新以降、東北も中央集権のなかにたぶん入ってしまったのだと思いますが、少なくとも東北が独自性をもって中央に伍していた、その礎をつくったのはアテルイであったし、そのきっかけは桓武天皇との戦いから生まれたような気がします。」