情報30 平成7年9月10日付・読売新聞日曜版

毎週一面に梅原猛氏(哲学者)の『地霊鎮魂 京都もののかたり』が掲載されている。その第65回「坂上田村麻呂と清水寺縁起」のなかで、わずかではあるがアテルイのことにもふれた文がある。
「...東征に赴く田村麻呂がここで延鎮と出会い、寺を建て仏を造り、戦勝を祈り、そして無事帰還すると、朝廷より先に清水寺に詣り、観音さまにお礼を言ったという話はよく解る。武将には信仰が必要である。信仰なくして人は勇猛果敢に戦うことが出来ない。田村麻呂は、蝦夷の族長・大墓公阿弖流為と食うか食われるかの激しい戦をした。現在、清水寺には阿弖流為の慰霊塔が建てられている。それは、長い間賊将とされて来た阿弖流為を見直そうとする歴史の動きに沿ったものであろうが、床しいことである。」