情報286 宝塚歌劇星組公演「 阿弖流為-ATERUI― 」

高橋克彦著『火怨(かえん) 北の燿星(ようせい)アテルイ』を原作とした宝塚歌劇によるミュージカル『阿弖流為』が、2017年7月15日から23日まで大阪の梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにおいて、7月31日から8月6日まで東京の日本青年館ホールで上演された。

阿弖流為は「己の心を捨てずに生きていける世を求め、蝦夷の誇りを守ろうと戦った一人の男」として描かれている。物語は八世紀、東北へ支配領域を拡大する大和朝廷が蝦夷征伐に乗り出す中、故郷を守る為に立ち上がった蝦夷の若き指導者・阿弖流為が、仲間と力を合わせて朝廷軍を打ち破っていく。
しかし勝利は更なる戦いを招き、やがて朝廷軍の切り札である坂上田村麻呂に征夷の命が下される(チラシより)。
蝦夷の誇りを守るため戦う阿弖流為。
その生き様を(れい)真琴(まこと)が演じ、宝塚星組30名が迫力に満ちた立ち回りを織り交ぜ、スペクタルな舞台とした。

脚本・演出は大野拓史で、プログラムには出演者全員の名前と写真が掲載され、主な登場人物についてはしっかりとした解説が書き込まれている。

アテルイは、「胆沢(いさわ)の蝦夷の長の跡継(後に長となる)。
蝦夷の諸勢力を結集し、長らく朝廷に立ち向かったが、坂上田村麻呂の遠征軍に降伏し、河内国で処刑された。
正史に残るのは、「巣伏の戦い」の大勝と田村麻呂への投降のみだが、各地にその雄姿を伝える伝承が残されている、実在の人物。
余談だが、奥州市の黒石寺で、阿弖流為の姿を写したと伝わる薬師如来像を拝観させていただいた際、
「朧(おぼろ)な光加減ゆえか寒さのゆえか、当公演で阿弖流為を演じる礼真琴その人に見えて仕方なかった事が、今なお忘れられない。」
とある。

座席料金はいずれの会場もS席7,800円、A席5,000円。
前売り開始で即完売したようで、直接舞台を観ることはかなわなかった。
10月に発売されたDVDを観て、あらためて実際に観劇したかったとの思いが湧き上がった。