情報276 奥州市の二校に「アテルイの里」と「阿弖流為の郷」の碑

平成25年12月25日、奥州市水沢東大通りの医師、室塚あや子さんがアテルイの里の石碑を同区神明町の市立常盤小学校(児童667人)に寄贈し、同校校庭の南側に設置された。花崗岩の碑(高さ約1.2m、幅約1m)には、横に「アテルイの里」と刻んだ御影石を中央に配している。

室塚さんは「アテルイは信念を貫き、純粋に勇敢に古里を守ろうとした。未來を担う子どもたちにも純粋に勇敢に生きてもらいたい。」と話し、寄贈を受けた常盤小学校の菅原孝司校長は「アテルイにゆかりのある当校に建てていただいたことに感謝したい。郷土学習などでアテルイを知ってもらう機会に役立てたい」と感謝している。

同校付近には、アテルイの拠点集落跡などが散らばる。10月に行われた同校の学習発表会では、アテルイの史跡まわりなどで学習した成果を「常小アテルイ」という劇で表現するなど、さまざまかたちでアテルイとの関わりを深めている。

平成26年5月12日には、室塚邦良・あや子さん夫妻が奥州市水沢佐倉河の東水沢中学校に阿弖流為の郷の石碑を寄贈し、校舎東側の庭に建立された。昨年12月の常盤小学校への石碑寄贈に続くもの。碑は一関市室根山の花崗岩を使用(高さ1.2m、幅1.4m)し、「阿弖流為の郷」と刻んだ御影石を中央に配している。

室塚さんは「愛する故郷で死にたかったというアテルイの無念を晴らす意味も込めて建立した。東水沢中学校周辺にはアテルイに結びつく遺跡があり、これからも多くの人に知ってもらうきっかけにしたい」と話している。

東水沢中学校の千葉正岐校長は「室塚さん夫婦の厚意により石碑が建立され、郷土の平和のために力を尽くした英雄を学ぶための身近な石碑となる。今年度の創立五十周年の節目に花を添えてくれた」と感謝している。

室塚さんは広島市出身だが、1986年に行政医師として岩手県庁に勤務した経験があり、その後は外務省の一等書記官兼医務官としてアフリカなどに赴き、東日本大震災の発生後の2011年11月に栃木県那須町から水沢に移り住んだ。現在は市内の医療法人に勤務しながら、ボランティアガイドもしている。ご夫妻とも当会の会員にもなっている。石碑はお世話になった岩手への感謝の気持ちとアテルイの人徳をたたえ、市教育委員会や歴史研究家らの協力を得て、跡呂井地区の小学校と中学校に建立した。