情報248 進藤秋輝編『東北の古代遺跡 城柵・官衙と寺院』

 前東北歴史博物館館長の編者が、東北古代城柵と官衙遺跡についての現段階の成果をとりまとめたガイドブックで、第1章古代城柵の沿革、第2章陸奥国の城柵と官衙遺跡、第3章出羽国の城柵と官衙遺跡、からなっている。第1章(2)奈良・平安時代の城柵で、伊藤博幸氏(奥州市埋蔵文化財調査センター所長)が「5蝦夷の反乱」を執筆し、アテルイ登場前の蝦夷反乱から「胆沢の合戦」「田村麻呂の登場」「阿弖流為の降伏」について見事なまでに簡潔に記述している。「胆沢の合戦の蝦夷側の勝利は、七八九年の巣伏村の戦いである。大墓公阿弖流為らのゲリラ作戦が功を奏し、紀古佐美将軍率いる政府軍を完膚なきまでに破ったことである。」〔高志書院、2010年9月発行、2,625円〕