情報250 『陸中一宮駒形神社 奥宮ご造営記録集』

 奥州市の駒形神社は、駒ケ岳山頂の駒形神社奥宮の老朽化が進んだことから、前社殿を解体し、新社殿の造営工事を行った(8月1日竣工)記録を記念冊子とした。山下明宮司代務者は、冒頭の「式辞」でアテルイについて次のようにふれている。「千二百年ほど前の坂上田村麻呂の北勢の成果は、胆沢城を築き、蝦夷の指導者アテルイに無血の降伏をさせたことでしょう。田村麻呂はアテルイに東北経営の力となるよう京に帰還した際訴えましたが、公家らに認められずアテルイは処刑されたのでした。また、田村麻呂は、東北が平定できたのは駒形大神様のご神徳によるものと、神階の昇格を何度も上奏しておりました。その結果、延暦二十一年(西暦802年)神階を得、仁寿元年(西暦851年)に正五位下、貞観四年(西暦862年)に従四位下に進み、東北地方で最高位の神階に昇格したのです(『文徳天皇実録』)。みちのくの平穏を見守ってきた駒形神社の神階の昇格はせめてものその地で生きてきたアテルイの慰霊になったのではと思います。」〔陸中一宮駒形神社、2010年9月発行、非売品〕