情報215 新野直吉「『田村麻呂と阿弖流為』の周辺を語る」

 1994年に吉川弘文館より刊行された新野直吉(現秋田大学名誉教授)著『田村麻呂と阿弖流為』が、2007年10月に同社の歴史文化セレクションとして復刊された。復刊にあたって加えられた「『田村麻呂と阿弖流為』の周辺を語る」では、「阿弖流為を主題に一書」を求められた時のことから執筆受諾の経過を、これまでのアテルイに関する叙述(『古代東北の開拓』『古代東北の覇者』『古代東北史の人々』『古代東北の兵乱』)を踏まえつつ、「さらに冷静に史料分析した著述の好機」として受け止めたと語っている。
 続いて、初版が刊行された年に京都清水寺に「アテルイ・モレの顕彰碑」を建立した関西胆江同郷会の高橋敏男会長との関わり、平成七年の延暦八年の会主催「アテルイライブラリー記念講演会」での講演、京都清水寺で書名と同題の講義をしたことなどが語られ、最後には、「そういえばちょうど、平成19年5月15日付『アテルイ通信』第51号には、枚方市牧野阪公園内に「伝阿弖流為母禮之塚」という清水寺貫主揮ごうの生駒石碑が建てられたことを報じていることも、ぜひ附記したい。」と記している。