情報137 市川染五郎主演「アテルイ」

 平成14年8月5日から28日まで、「劇団☆新幹線」の中島かずき作、いのうえひでのり演出による「アテルイ」が新橋演舞場において上演された。アテルイには市川染五郎、坂上田村麻呂には堤慎一が扮したほか、水野美紀、渡辺いっけい、金久美子らも加わる豪華キャスト。派手な照明、ハードロックの大音響、絶え間なく続く立ち回り、繰り出されるギャグ、楽しくスピ―ド感あふれる展開に休憩を挟んでの約三時間も瞬く間であった。歴史に大胆な脚色を加えているが、その根底に流れるものをきっちりと掴んで内容を組み立てており、その意味でも素晴らしい作品と拍手できるものであった。
 なお、新橋演舞場での公演を前に市川染五郎、堤慎一さんら一行15人が、イメージづくりとスチール撮影のため水沢市の埋蔵文化財調査センターなどを訪れた(6月19日)。染五郎さんは「十数年前、新しい歌舞伎をやりたいと思い題材をさがしていたらアテルイに出会った」という。「悪路王像は刺激的...」と見入っていた。