情報113 たつみや章『地の掟 月のまなざし』(講談社)

第37回(1999年度)の野間児童文芸賞を受賞した『月神の統べる森で』に続く連作第2弾。縄文のムラを征服しようとする新来の弥生のクニ、そこに起る憎悪と争い、理解と友情の芽生えを描く長編古代ファンタジー。それぞれの社会の命運をにぎる二人の少年を主人公としているものの、縄文のムラの若き長であるアテルイが物語の最重要人物として始めから最後まで登場している。「日本人の文化的基層であると信じている縄文という文明に、みなさんの学究心を引き寄せたいという思い」が、この物語を書き始めた作者の動機という。