情報104 武光誠著『日本地図から歴史を読む方法➁』(河出書房新社)

第四章「彼らは、なぜその地で時の権力に反逆したのか」の最初の項、「蝦夷の首長の反乱と坂上田村麻呂の東北経営」にアテルイが取り上げられている。著者(明治学院大学教授)の説によると、「阿弖流為がすぐれた武将であったことは確かである、しかし、彼らは蝦夷対日本といった形の民族の対立で動いたのではなく、地方官の悪政に反抗して立ったのである」という。「ゆえに、善政にこころがければ、蝦夷はおのずと朝廷に従うことになった」と。また、延暦21年にアテルイは五百余人を率いて降伏したが、「このとき阿弖流為に従った兵士は、田村麻呂のはからいで帰農を許された。」という。著者は日本古代史を専攻と紹介にあり、著書も多数あるが、どのような史料と研究からそこまで言い切るのであろうか。