情報49 武光 誠「エミシ・エゾ・アイヌは日本人か」

『別冊歴史読本』第76号(1996年11月発行)所収。「阿弖流為の反乱」に言及しているので紹介する。武光氏(明治学院大学助教授)は、「人びとが狩猟で生活して毛皮を着てくらすより、農耕に従事して布を着る道を選ぶのは、自然の流れだ」という認識をもとに、次のように書いている。
「阿弖流為が農耕をうけ入れなかったわけではない。かれは、土着の豪族の自立性の重視を求め、朝廷が送った地方官の横暴を非難したのである。阿弖流為の軍勢は強く、何度も朝廷の大軍を破った。そこで、東北遠征を命じられた坂上田村麻呂は、農業経営に力を入れ人心をつかむことに力を入れた。生産に従事しない阿弖流為の軍勢はしだいに民衆から孤立していくことになる。そのため、阿弖流為は兵糧不足で降伏した」。はたしてそうだろうか。